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美容医療、アンチエイジング医学、美容外科の現状と未来について
皮膚再生治療…今できること、まだできないこと、そして未来の可能性。
私が形成外科の分野に足を踏み入れて、はや20年程となりました。その間、形成外科、美容外科の分野も様々な技術的、基礎医学的発展も他の医療分野に負けず進歩してきました。また、それと共に人々の美容やアンチエイジングに関する意識や関心の高まり、世間一般にも様々な情報が溢れています。それらの情報の中には、正確に治療成果や効果を伝えるものもありますが、反面、期待やイメージのみ先行して、実際の科学的根拠や裏づけに乏しいものも少なくありません。また、将来への可能性は大きくても、現時点での実際の臨床的応用や安全性はまだまだ、確立していないものもあります。美容医学における再生医療なども大学などの研究機関と共に、臨床応用を始めているものもありますが、簡単に皮膚が再生し、若返るなどというレベルにはまだ到達していません。今、現時点で美容医療はどこまでできるのか、ネットや雑誌などで見られる治療に対する評価は、医学的にはどうなのか、できるだけ正確に伝えていきたいと考えます。
皮膚の再生に関する治療法・・・皮膚の再生による若返りや皺の治療に関しては、レーザーから注射、'金の糸’挿入、血小板・自己血漿療法(PRP)、自家培養繊維芽細胞注入など、いくつかの治療法が、紹介されています。そもそも皮膚に関して言えば、基本的には非常に再生しにくい組織の一つであることは間違いありません。火傷やケガなどで、皮膚の深層まで損傷してしまった場合、火傷跡や傷痕は、一生消えないのは、その為です。レーザーや一部の注射でできるのは、皮膚の一部を刺激したり、皮膚のコンデションを改善することで、自らの再生力を高めてあげることであり、魔法のように自分の皮膚が再生されるものではありません。また多血小板血漿療法(PRP)は、自己血の中の血小板に多く含まれる成長因子(サイトカイン)を抽出して、肌に注入することで皮膚再生を誘導する治療法ですが、皮膚潰瘍、歯科領域の骨再生などに応用されていますが、正常な皮膚に対する皺治療に関しては、はっきり効果を判断するには時間が必要なようです。自家培養繊維芽細胞注入は、体の皮膚や口腔粘膜を採取して、そこから皮膚のもとの細胞である繊維芽細胞を培養し、皺の気になる部位に注入して皺を改善しようというものです。細胞培養には、専門の細胞調節施設(CPC)で、厳密な管理指針のもと2か月ほど時間が必要です。その為、費用の問題さらに、深い皺には効果が薄いまた、60歳以上の人では効果が確認しにくいなどの問題が指摘されている為、なかなか広く普及するには改善点が多い治療であるとも言われています。 '金の糸’挿入に関しては、明確な皮膚の再生を誘導するという根拠は乏しいようです。一般的に美容外科で行っている特殊な意図を用いたリフト手術は、これとは異なり、皮膚の内部から引っかかりのある糸状の材質のものを使用して、物理的に引き上げる手術です。効果は長期的ではなくとも、傷が目立たなく、タルミが軽度の人ならば治療の選択として考えてよいものですが、皮膚の再生との関連はこれも薄いでしょう。
その他の再生医療・・・幹細胞を用いた治療。
幹細胞とは軟骨、神経、筋肉、脂肪など他の細胞に分化する能力を持った多能性幹細胞の事をさします。現在では、脂肪組織由来の幹細胞を一緒に移植することで、脂肪の生着率を上げようという試みで、脂肪移植に利用されています。しかし、単に採取した幹細胞を皮膚に注入したり、点滴などで血液に戻したとしても、若返りの効果があるかどうかは未知数の部分であり、予期せぬ他の細胞などに変化して腫瘍を誘発しないかなどの安全性での評価も必要です。 美容大国である韓国内でも、安易に幹細胞によるアンチエイジングを謳った施設が、摘発されたりして、問題になっています。
どんな治療にしろ、広告的なイメージや、一部の報道のみで判断するのではなく、医師の説明をよく聞き、その治療の意味や内容、そして効果や副作用に関しても納得して行う姿勢が大切です。
アジアン美容クリニック 院長、帝京大学附属病院付属美容センター講師 鄭 憲
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